それは今から20年くらい前の話です。その時の仕事はバスとは全く関係のない仕事でしたが、街中でよく日東交通のバスを目にしていました。当時、女性の運転手は今よりもかなり少ない時代ですから、大きなバスを運転する女性はとても目を引きました。その女性を何度も目にするうちに「私も運転したい」という気持ちがどんどん大きくなって行き、その思いはいつか「私もバスを運転する」という強い気持ちに変わって行きました。
実は20代の頃に将来役に立つだろうと、大型一種免許は取得していたんです。ですが、当時はダンプやトラックの仕事は女性には体力的にきつい仕事ばかりでしたので、その資格を生かすことはありませんでした。
バスを運転すると決めてからは、実行は早かったです。とは言ってもすぐに日東交通に電話して運転者に応募とは行かずに、運送会社に転職しました。なぜかというと、最初からお客様を乗せて運転するのではなく、まず荷物を運ぶ仕事をして、そこで慣れてからバスの運転者と段階を踏もうと考えたからです。トラックも4トンだったので練習にはちょうど良い大きさでした。その運送会社に入社する時点で、バスの運転のための修行だと思ってました。その会社に数年勤務して、辞める時には社長から何度も引き止められましたが、「私にはバスの運転者になるという夢がある」と振り切って退社しました。
修行を経て(笑)、ようやく夢の運転者になることが出来ました。本当に嬉しかったです。木更津営業所に配属されましたが、私が憧れていた女性運転者の吉田さん(現在は鴨川営業所に勤務)はその時には一度退職されていて、いなかったんです。残念でしたが、その後、業務中に木更津駅でお会いすることが何度か会って、すぐに話し掛けて色々お話しするようになりました。年も同じだったことも分かり、すごく仲良くなりました。
最初は路線バスで市内線を担当です。初めて乗ったバスは4トントラックとは違い、高さがありました。それと、それまでは荷物を運んでいましたが、お客様を乗せるというのが一番の違い。トラックとは違って、お客様が降車する時に「ありがとう」と感謝の声をいただけるのが嬉しかったです。
市内線は同じ時間の路線であれば、大体同じお客様です。常連のお客様と次第に顔見知りになり、お客様から声を掛けていただいたり、逆に私の方からお声掛けしたりして、日常会話が出来るようになって、とても楽しい仕事だと実感するようになりました。